ずっと日経の広告で気になっていた本、『
もう、不満は言わない
』(ウィル・ボウエン著)は書店で見かけたことはなかったのだけれど、先日ふと近所の書店で1冊だけ平台に残っていたのを見つけたのを機に読んでみた。
著者の牧師が始めたムーブメントが、活動の拠点である教会を中心にさざ波を立てはじめ、オプラ・ウィンフリー・ショーに出演したり(この番組で紹介された本は必ずミリオンセラーになるそう!)、その他さまざまなトークショーに出演しながら本を出版し、日本にも飛び火したよう。
リクエストすれば無料で送ってくれる紫色のラバーバンドを腕にはめ、不平不満を口にするたびに反対の手首にはめ替え、21日間同じ側にキープできた頃には違う自分になっている、というもの。
さすがにラバーバンドははめていられないけれど、実践に落とし込まれた自己啓発法としては単純ながら優れているように思う。
ここでいう不平不満とは・・・
「あーあ、頭が痛い」「どうせデブだし」「もうバカバカしくてやってられないよ」などの、今言ったところですぐにはどうにもならない愚痴のこと。
例えば、ウェイトレスが持ってきた食洗機から出たばかりの熱いサラダ用取り皿に対し、「こんな熱い皿で食べろってゆーの(怒)?」は不平不満であり、「お皿が熱すぎるので、せめて常温のものに替えてもらえますか?」と、自分の状況を改善できる立場の人に事実を告げるようにする、というのが上級者編で、まずはその前に、口から悪態が出そうになったら、本当にそれを言う必要があるのかと一度踏みとどまると、驚くほどその必要はないことに気づく、というのが大筋。
(ちなみに、皿不足で怒られたバイトはいつかの私。)
いくら「前向きに考えよう」とか「毎日感謝しよう」とか、いかにも正しげな標語が踊る自己啓発本を読み漁ったところで、実践に落とし込まなければ何も変えられない。本書は、”不平不満を21日間言わないでみる”という、一見とっつきやすい方法で、しかも紫のブレスレットというちょっとしたツールで可視化させ、右脳の刺激を伴いながら行える点や、”同調”という名のムーブメントに乗りやすい人間の習性をうまく利用し、成功したのだろうと思う。
それにしても、自己啓発本は切り口の変え方次第でまだまだいかようにも調理可能らしい。
『
イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
』を飛び越えてあっという間に読み終えてしまった(笑)。
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